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現地レポート

新成人が思い描く明日(みらい) RSS

2017年1月6日 22時04分

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良いイメージを持たれているのは分かっていた。だからこそ、それを払拭するには出だしが重要になる。その出だしは悪くなかった。しかし、そこからもうひとつ抜け出せない時間帯が続く。打ち破ったのは今年、新成人を迎える富士通 レッドウェーブの2年目、⑤曽我部 奈央選手だった。
女子準々決勝、富士通と三菱電機 コアラーズの一戦は80-65で富士通が勝利し、5年連続となる準決勝進出を決めた。

富士通はオールジャパンの直前、Wリーグの1次ラウンド最終節で三菱電機に連敗を喫している。この試合はそのリベンジマッチでもあった。
序盤から⑫篠原 恵選手のポストプレイ、⓪長岡 萌映子選手の3Pシュートなどでリズムを掴んだが、第2ピリオドに入るとなかなか得点が伸びていかない。三菱電機もミスを重ねていたため、追い上げられたわけではないが、それでもいつ三菱電機のリズムになるか分からない。

そんな膠着状態を打ち破ったのが、⑤曽我部選手の3Pシュートだった。
「リーグの前半戦が終わってからオールジャパンまで、みんなで合計4万本のシュートを決める『4万本チャレンジ』をしてきました。毎日毎日200~300本ずつ入れてきたので、あの場面でもシュートは思い切り打つことができました」

⑤曽我部選手の最大の武器は、自他ともに認めるディフェンスだが、本人も「ディフェンスが良いときはオフェンスも上がってくる」と言うとおり、ディフェンスで強烈なプレッシャーをかけることによって、その3Pシュートを生み出した。
さらにその直後、三菱電機㊺渡邊 亜弥選手のドリブルをスティールし、それを奪い返そうとした渡邊選手のファウルを誘うなど、チームに勢いを与える仕事を短時間でしている。
今日の勝利の陰の立役者と言っていいだろう。

厳しいディフェンスから相手のボールを奪う富士通 レッドウェーブ⑤曽我部 奈央選手(下)

厳しいディフェンスから相手のボールを奪う富士通 レッドウェーブ⑤曽我部 奈央選手(下)

実はリーグ戦で三菱電機に2連敗した、その初戦に⑤曽我部選手は出場していない。ベンチにはいたし、ケガや病気だったわけでもない。ただ、その日の朝の練習であまりにも調子が上がらないために、小滝 道仁ヘッドコーチから起用を見送られてしまったのだ。

あの悔しさは今も忘れていない。
「あんな形で出られなかったから、今朝の練習でも、また『あのときのようになったら、どうしよう?』ってすごく緊張していたんです。でも、そんなこと以上に、今までチームのみんなでハードに練習してきたことがすごく自信につながっているので、今日は自分のできることを、本当に精一杯出そうという気持ちで臨みました」

その結果が持ち味のディフェンスで相手のガード陣を苦しめ、練習を重ねてきた3Pシュートでチームに勢いを与えた、彼女の活躍だったわけである。
「今日の勝利で、あの連敗で失っていたチームの自信は取り戻せたと思います。今までやってきたことがみんなの自信になっていると思うので、明日からはオフェンスもディフェンスも40分間、誰が出ても強い気持ちで戦えると思います」

明日は6年ぶりの決勝戦進出をかけた準決勝である。相手はシャンソン化粧品 シャンソンVマジック。5年前、つまり準優勝した翌年のオールジャパン2012の準々決勝で敗れた相手である。もちろん当時は⑤曽我部選手も富士通の一員ではなかったが、それでも今年こそは決勝戦へという気持ちを、ほかのチームメイトと同じくらい強く持っている。
「自分自身のやることは変わらないので、ガードの⑫三好(南穂)さんを苦しめられるだけ苦しめたいと思います」

気持ちよく成人式を迎えるためにも、成人の日の前日に行われるオールジャパンの決勝戦に立って、笑顔で大会を終えたい。今年、新成人となる⑤曽我部選手は心の中で、そんな明日(みらい)を思い描いている。

笑顔で成人式を迎えるためにも、さらなる奮起を期待したい

笑顔で成人式を迎えるためにも、さらなる奮起を期待したい

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