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現地レポート

我ら、これより浮上す RSS

2017年1月4日 23時13分

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人はいつ、いかなるときでも意識を傾けることでさまざまなことを学び、それを生かすことができる。

111-51でJR東日本秋田(東北)に快勝した仙台89ERS(B.LEAGUE 12位)のキャプテン④志村 雄彦選手が言う。
「カテゴリーの異なるチームと対戦するのは難しいものです。どうしても格下だと思ってやっていると、点差が離れていかないときに選手だけでなく、会場までもが嫌な空気で覆われてしまうからです。それが怖かったから、今日は自分の持っているその経験を生かして、そういう空気にさせないようにしようと思っていました」

その言葉通り、つまらないミスを繰り返していた仙台が、第1ピリオドの途中で④志村選手をコートに投入すると、チームに一本の筋が通った。そうしてリードが広がり始めると、そこからはおのずとチームの歯車が噛み合い出し、プロチームとしてのアドバンテージもしっかり出すことができた。
「大切なのはメンタルのセットです。どんな相手でも自分たちが目標を持つことと、自分たちのやるべきことをやり続けなければいけません。今日はそれができたと思います」

経験を生かし、チームを熱くリードする仙台89ERS④志村 雄彦選手

経験を生かし、チームを熱くリードする仙台89ERS④志村 雄彦選手

昨年9月よりシーズンがスタートした「B.LEAGUE」では、現在8勝21敗と大きく負け越している。直近の試合から遡っても、2016年最後の試合となった12月30日の大阪エヴェッサ戦こそ勝っているが、その前は4連敗。横浜ビー・コルセアーズ戦の勝利を挟んで、その前は12連敗もしている。
「リーグが変わり、チームが変化する上で痛みはつきものだと思っていました。ただbjリーグ時代にはあまり負け慣れていなかった分、実際に負けが続いたときに、そこへの耐性がなかったリーグの前半戦でした(志村選手)」

B.LEAGUEの前半戦をそう振り返りながら、しかし④志村選手自身はネガティブになりそうな状況でも決して悲観はしていなかったという。正しいことをやり続けていけば勝てると信じていたからだ。むしろ、今大会でタイトルを狙いながら、これまでの“負”の流れを転換させるきっかけにしたいとも考えていた。
「過去にもオールジャパンをきっかけにして浮上していったチームはあります。僕らは失うものはないし、むしろ幸運にも出場することができたので、ここで試合ができることを生かしたいと思っています」

成績がリセットした状態で始まるオールジャパンで、浮上のチャンスを掴みたい

成績がリセットした状態で始まるオールジャパンで、浮上のチャンスを掴みたい

3回戦の相手は、B.LEAGUE 5位の三遠ネオフェニックスである。
今シーズンはまだ公式戦で戦っていない相手だが、④志村選手はその対戦を「非常に楽しみです」と言う。
「三遠さんはずっと良いバスケットをしていますし、いい選手もたくさんいます。(河内修斗アソシエイトヘッド)コーチは昨シーズンまで一緒にやっていましたし、ぜひ恩返しをしたいですね」

コートでは人一倍の運動量と、小さな体を最大限に使ったフィジカルなディフェンスで激しくプレイする④志村選手。ベンチに下がっても、率先して声を出し、タイムアウトになるとチームメイトを労うために、一番にコートの中へと飛び出していく。そんな強烈なキャプテンシーを持つ彼だからこそ、チームはまだまだ成長していける。
「今日の試合では普段あまりプレイタイムが得られない選手たちも出場できましたし、それを自信にして、明日も勝てば、おそらく準々決勝ではアルバルク東京と対戦になります。いいチャレンジができると思います」

崖っぷちでの出場となったが、オールジャパンではB.LEAGUEの成績は持ち越されず、試合はすべて0-0から始まる。浮上するチャンスは十分にある。

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