笑う門の歳神さま RSS
2017年1月5日 18時42分
小気味よいドリブルでディフェンスをかわし、素早く周囲の状況を判断すると、的確にパスを供給する。そのボールがネットを揺らせば、彼ならずとも自然と笑みはこぼれてくるだろう。
千葉ジェッツ(B.LEAGUE 7位)が新潟アルビレックスBB(B.LEAGUE 10位)を92-65で下し、準々決勝進出を決めた。千葉ジェッツの司令塔としてチームを引っ張った②富樫 勇樹選手がゲームを振り返る。
「新潟が第1ピリオドの外国人選手の出場人数を2人に指定した時点で、第1ピリオドが五分五分くらいで進むのは想定内でした。その分、1人になる第2ピリオド、第3ピリオドで突き放していこうというのが、今日のゲームプランだったので、それがしっかり出せた試合だったと思います」
その言葉どおり、第1ピリオドこそ同点で終えたが、第2ピリオド以降はほぼ千葉のペースで試合は進み、明日以降のゲームのことを考えて、プレイタイムをチーム内でシェアすることもできた。千葉にとってはまさにプラン通りの快勝だった。
新潟は、11月から始まった千葉の13連勝を止められた相手でもある。そのときは91点も失っている。
「それまでビッグマンが2人とも得点力のあるチームと対戦していなかったので、どういう守り方をしたらよいかが良く分かっていなかったんです。ヘルプに行き過ぎて(㉓佐藤)公威さんたちアウトサイド陣にシュートを決められたので、ダブルチームとまではいかないけど、インサイドにしっかり寄りながら守ることが、(敗れた)翌日のゲーム(106-69)と今日と、上手くできたんじゃないかな」
一度敗れた相手だからこそ、しっかりアジャストし、同じことを繰り返さない。そうしたディフェンスの修正力は、今年の千葉の強みの一つでもある。
それだけではない。昨シーズンまではシュートを打つと、ベンチのコーチが表情を曇らせることもあり、「ああ、このシュートはダメなのか……」と選手のなかに疑心暗鬼が生まれていた。それがもう一つ伸びきれなかった要因でもある。
「今年のチームは個々の強みを存分に出せるというか、(大野篤史ヘッド)コーチがそれを理解してくれたうえで起用してくれています。それが一番の違いだと思います。みんな思いきりプレイできていますから」
準々決勝の対戦相手は栃木ブレックスに決まった。前回大会も初戦を突破すれば対戦した相手である。ただその前に千葉は広島ドラゴンフライズに敗れ、オールジャパンでの対戦は実現していない。
「リーグ戦とは異なる空気での試合になると思うので、しっかり準備したいと思います。ただ、どのみち上位チームとは当たるわけですし、(栃木とは)決して相性が悪いわけでもないので、しっかり頑張るだけです」
1993年生まれの②富樫選手は、今年の誕生日で24歳を迎える。つまり“年男”である。
ただ本人は「自分が何年かさえ、あまり気にしたことがなかったんです。今年Bリーグが出した写真で自分が酉年と知ったくらいで……」と笑う。
そのうえで今年の抱負を促すと、こう答えてくれた。
「千葉は優勝経験もないし、チームメイトにもそこまでの結果を残している選手がいないので、毎試合プレイオフのような気持ちで、一戦一戦を戦うだけです」
それこそが昨シーズンの千葉に足りなかったところでもある。上位チームに負けるっと、どこかに負け慣れている空気があった。しかし今年はそれを払拭しようと、チームが一丸になって取り組んでいる。それは、結果として敗れはしたが、年末の川崎ブレイブサンダース戦でリードされながらも、最後まで食らいつくことができたように、少しずつ結果にも表れている。
「チームとしては試合の出だしがかなり大事になります。そこはポイントガードとして心がけたいところですね」
真剣な表情の中に、ときおり見せる笑顔は福を呼び込む。そう、笑う門には福来る、である。
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