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現地レポート

“悲願の1勝”のために必要なもの RSS

2017年1月3日 23時25分

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経験豊富な山梨クィーンビーズ③藤井 美紀選手はチームに不可欠な存在

惜しい試合でしたね――試合後、そう声をかけると、山梨クィーンビーズの③藤井 美紀選手は「いや、惜しくないです。ハッキリ言って、勝たなきゃいけない試合でした」と、厳しい表情で言い切った。

大会2日目、駒沢体育館で行われた山梨クィーンビーズ(WJBL 12位)と日立ハイテク クーガーズ(WJBL 10位)との女子2回戦。
前半、互角の戦いを演じ、後半も離されそうになるたび追い上げて食らいついた山梨クィーンビーズだったが、最後は68−57で振り切られた。終盤まで粘りに粘ったしぶとさは賞賛に値するものだったが、山梨クィーンビーズの選手たちが手に入れたいのは“好ゲームに対する賞賛”ではない。何よりも、“勝利”という結果なのだ。

山梨クィーンビーズは、今シーズンから3年ぶりにWリーグに復帰したチーム。しかし、トッププレイヤーが集うWリーグの世界は、そんなに甘くなかった。
ここまでのレギュラーシーズンは、1次ラウンドを終えて22戦全敗。だからこそ、このオールジャパンでこそ初白星を挙げようと意気込んで臨んだが、1回戦で専修大には勝利したものの、先述したように2回戦で日立ハイテク クーガーズに敗れ、Wリーグのチーム相手に初勝利とはならなかった。

全敗中とはいえ、これまで勝利できそうな試合がなかったわけではない。レギュラーシーズンでは10点差以内の試合が5試合もあり、今日の試合を見ても、力の差が歴然と開いているわけではなかった。

それでも勝ち切れない要因を、③藤井選手はこう語る。
「良い流れが続きません。いつも途中で流れが切れて、尻すぼみになってしまう。それは選手一人ひとりが消極的になってしまう時間帯があるからだと思います。その意識が変わらないと、結果もついてきません」

振り返れば、良い流れのときはきまって、5人全員が積極的にゴールへアタックし、ディフェンスでもアグレッシブに仕掛けているときだった。そうした「“攻め続ける気持ち”が勝つためには必要」なのだと、③藤井選手は強調する。

確かに、昨日の1回戦、接戦を勝ち切った専修大との試合がその現れかもしれない。試合は終始リードしていたが、専修大の猛追に遭い、残り33秒で同点に。この状況を打開したのが、「『自分がやらなきゃいけない』と思って攻めました」という③藤井選手の強気なドライブだった。このプレイでフリースローを獲得し、最後は4点差で逃げ切って今シーズン初勝利を手にしたのだ。

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チーム一丸となって初勝利を目指す山梨クィーンビーズ

勝利への道を切り開く、“攻め続ける気持ち”。
「それが40分間継続できて初めて、トントンの実力だと思っています。ここまで全敗で来ているわけですし、何かを変えて食らいつかないと、勝利は手に入らない。環境を言い訳にはできません」
そう語る③藤井選手の言葉からは、“勝つことの難しさ”がひしひしと伝わってくる。

それでも、立ち止まるわけにはいかない。“山梨に根づいた日本一のクラブチーム”を目指す山梨クィーンビーズには、昨日と今日と、オールジャパンでも多くのファンが駆けつけ、声援を絶やさなかった。そうしたファンの期待に応えるためにも、まずは何としても1勝を挙げたいところだ。
Wリーグは1月21日(土)から、いよいよ上位と下位に分かれての2次ラウンドへと進んでいく。今大会の悔しさを胸に刻んで、山梨クィーンビーズの挑戦は続いていく。

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