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現地レポート

同級生に“追いつけ、追い越せ” RSS

2017年1月7日 20時54分

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「さすがに高校とトップリーグとでは違いますよね」
女子準決勝、JX-ENEOSサンフラワーズに52-72で敗れたトヨタ自動車 アンテロープスの⑦水島 沙紀選手はそう言った。

16-39と大幅なビハインドで迎えた第3ピリオド、⑦水島選手は2本の3Pシュートを沈め、チームに反撃の糸口を与えた。
それは彼女が高校2年生の時、埼玉県で行われた高校総体の決勝戦、愛知・桜花学園高校と東京・東京成徳大学高校の後半とよく似ていた。大きなビハインドを背負っていた桜花学園高校が、⑦水島選手の3Pシュートを皮切りに怒涛の反撃を見せ、逆転で優勝を果たしたのだ。

そのときと同じように「前半、シュートが入らなすぎた(⑦水島選手)」
トヨタは、ハーフタイムで気持ちを切り替えたものの、同じような結果を導き出すことはできなかった。そうして冒頭の言葉を発し、続ける。
「あそこでチームが同じように上がっていければ良かったんですけど、やっぱり(JX-ENEOSは)強いですね」

JX-ENEOSサンフラワーズ⑪岡本 彩也花選手を相手にドライブを仕掛けるトヨタ自動車 アンテロープス⑦水島 沙紀選手(右)

JX-ENEOSサンフラワーズ⑪岡本 彩也花選手を相手にドライブを仕掛けるトヨタ自動車 アンテロープス⑦水島 沙紀選手(右)

あの夏の逆転劇を経験したのは、もちろん⑦水島選手だけではない。対戦相手となったJX-ENEOS⑩渡嘉敷 来夢選手と⑪岡本 彩也花選手もいた。㉑間宮 佑圭選手も敗れた東京成徳大学高校のエースとしてコートに立っていたが、ともあれ⑦水島選手と⑩渡嘉敷選手、⑪岡本選手は桜花学園高校の同級生として3年間を過ごし、歴戦を重ねてきた。

その3人が、7年のときを経て、オールジャパン2017の準決勝でマッチアップした。
「同じ高校でプレイしていた分、少しは意識しましたね。特に岡本はマッチアップの相手でもあるので、絶対にやられないようにと思って、臨みました」

チームのスタイルも違えば、それぞれの役割も異なるだけに、得点でマッチアップの勝敗を図ることはできないが、⑦水島選手が13得点であるのに対して、⑪岡本選手は9得点。数字としては⑦水島選手のほうが勝っている。それでも「やられたくなかったドライブを少しやられすぎたかな」と⑦水島選手は反省する。
マークマンのスイッチで⑩渡嘉敷選手に守られた場面では「どうやって抜こうかって少し考えすぎてしまいました。もっとリラックスして攻めればよかったです」と、やはり同級生を気にしすぎてしまったようだ。

JX-ENEOSサンフラワーズ⑩渡嘉敷 来夢選手とマッチアップするシーンも

JX-ENEOSサンフラワーズ⑩渡嘉敷来夢選手とマッチアップするシーンも

高校卒業後、教師を目指して東京学芸大学に進学した⑦水島選手は、その4年間を決して後悔しているわけではない。しかしその間、JX-ENEOSの一員としてバスケットボールに打ち込んできた2人との、ある種の差のようなものは感じると言う。
「2人は常勝軍団で大舞台も常に経験しているのに対して、私は(トヨタ自動車に入社して)3年目でようやくチームの土台になれたかなっていうところなので、その経験の差は大きいですよね」

ただ、と水島選手は続ける。
「それは言い訳にできないので、チームとしてスタメンで起用されている分、しっかりプレイで答えを出していきたいです」

個人としては3Pシュートを3本沈めたことよりも、フィールドゴールが8本中1本しか決められなかったことを悔やむ。シューターというポジションではない彼女に求められているのは3Pシュートでなく、ドライブで相手のディフェンス網を崩して得点を挙げるか、アシストを生み出すか、である。
「その意味でもう少し2ポイントの得点がほしかったですね」

常勝軍団に勝つためにはシュートを決めきることはもちろん、⑦水島選手について言えば、ドライブからのシュートバリエーションを増やす必要がある。そのことに改めて気づかされた試合だった。敗れはしたが、常勝軍団の同級生から得たヒントは、Wリーグ2次ラウンド以降、⑦水島選手にとって貴重な財産となりそうだ。

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